東京国立近代美術館で開催中の「東山魁夷展」へ、会社帰りに行ってきました。
詳しくは、下記のオフィシャルサイトでご確認くださいませ。
展覧会情報生誕100年 東山魁夷展(東京国立近代美術館オフィシャルサイト内)
生誕100年 東山魁夷展(特設サイト)
日本を代表する画家のひとり、東山魁夷。
晩年は市川市にお住まいだったり、彼の出世作「残照」がマザー牧場近くの「九十九谷(くじゅうくたに)」の光景を描いていたり、と、千葉に縁の深い画家さんです。
今回は生誕100年展ということで、「過去最大の回顧展」と銘打って東山魁夷の主だった作品の大半が集められています。
ポスターになっていた「道」「花明り」(上のパンフレットの絵です)を筆頭に、唐招提寺の障壁画までもが寺での状態そのままを再現した形で展示されているのだから、圧巻です。
先日テレ東の「美の巨人たち」で取り上げられて気になってた(この時は今回の展示会の案内を見落としていた)とこに加え、水曜日くらいに会社で何気なく見た日経で「生誕100年展」が開催中なことを知り、しかも国立近代美術館は金曜は20時まで開館しているので、会社帰りに5時半ダッシュでいざ竹橋。
5時半ダッシュで美術館、実里さんはわりとよくやります。
しかし、いつもの上野に比べ、この日の国立近代美術館はやたらに混んでいる。
丸の内が近いせいか、会社帰りとおぼしきサラリーマンやOLさんらしき人で、予想外の賑わいです。
おかげで、閉館間際のミュージアムショップは休日並みに大混雑だった訳ですが、それは美術館堪能後の話(´・ω・`)
後で調べたら、私が足を運んだ4月25日(金)に入場10万人を超えたという話ですので、日本における東山魁夷という画家の人気が伺えます。
まあまあ、まずは入館。
チケットの写真は「道」でした。
今回の目的は、日展特選を獲得し、画家の大きな転機となった「残照」。
この作品は前述の通り、千葉の九十九谷を描いたものなのですが、そこはかつてダーリンとお付き合いを始めた頃に行った思い出の地だったり:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
いつだったか「残照」の存在を知り、一度見てみたいと常々思っていたので、今回はうってつけだった訳です。
「残照」は、比較的展示の最初の方にありました。
………。
その絵は、あまりに透明で、あまりに静かで、あまりに鮮烈でした。
絵の中に流れる、凛とした空気。
なだらかに続く山々の合間の彼方にほんのりと霞む、雪を抱いた山脈。
描かれている風景は決して目新しいものではないのですが、その中には張り詰めた祈りにも似た「何か」を感じるのです。
気づくとなぜか私は涙ぐみながら、絵の前で立ち尽くしておりました。
その後も、無数の代表作が並びます。
「たにま」という作品については、モデル風景の写真から完成作に至るまでのスケッチが並んで展示されておりました。
何気ない風景からひとつの様式美とも言える作品に行き着くまでの画家の力量に感嘆するばかり。
「花明り」の桜と月の美しさにため息をつき、「白馬」のいる一連の作品には透明感あふれる色彩と構図に言葉を失い、唐招提寺の障壁画に至っては、祈りの空間に相応しい静謐な空気に押し黙る実里さん(´・ω・`)
これまで見た西洋絵画は「異国の美しさ」という意味で目を奪われることが多かったのですが、今回見た絵画の多くは「日本的」な美しさだったように感じました。
浮世絵にも似た画面構成があったり、「桜」や「紅葉」を題材としたりすることでダイレクトに「日本」を感じさせる部分もあるのですが、例えば「たにま」の推敲の様には「俳句」や「短歌」に通じる何かを感じたりだとか、色彩や構図はこれまでの「日本画」に対するイメージとは異なりつつも、やっぱり東山魁夷という画家は「日本画家」だと思うのです。
多少なりとも美術館へは足を運ぶ実里さんですが、今回は別格でした。
今まで西洋絵画を見に行くことが多く、実際それらも非常に美しかったのですが、今回の東山魁夷展についてはちょっと感じ方が違ったのです。
僭越ながら「根っこが同じ」と言うんでしょうか。
何というか「絵の空気がわかる」ような気がしたのでした。
日本で東山魁夷が人気、という理由はそこなのかな。
透き通るような色彩の中に、日本人の原風景がある……なんていうと偉そうね(笑)
見て回っている間に、近くにいた人が「懐かしい風景だね」というようなことを同行の人に言っているのを耳にしました。
たぶん、そういうことなんじゃないかな。
決して、そのものズバリな日本家屋だとかそんなのが描かれている訳じゃないのですが、東山魁夷が描くのは日本人のDNAにダイレクトに響く「懐かしい風景」なんでしょう。
さて、そんな訳で程よく日本の美を満喫し、何となく常設展へ。
………うーん。
さすがは「国立近代美術館」。
近代から現代の日本人芸術家の作品がいろいろ並んでいるわけなんですが。
どうも現代美術の抽象的なものって苦手。
あの抽象的さに内包される意味を考えるのがコワイ。
「自分」という存在が何故此処に在るのか、というのを考えるのに似た狂気の淵を感じるんだよねぇ(´・ω・`)
常設展のうち、後半の現代美術をすごい勢いですっ飛ばし、ミュージアムショップへ。
が、大混雑に辟易(´・ω・`)
閉館間際ということもあり、前述の通り、休日並みの大混雑。
最後に気に入った絵のポストカードを買うのが私の美術館巡りの定石なのですが、これが非常に苦労致しました。
ほんとは図録も買おうかと思ったんだけど、図録の作品の写真があまり大きくなくて解説満載だったので買うのを諦める。
解説もキライじゃないが、とりあえず作品が味わいたかった訳で。
どっかで画集買うか(´・ω・`)
とりあえず堪能しましたよ東山魁夷。
会期は5月18日(日)までらしいので、気になった方はお早めに。