引っ越し前に駅構内にポスターが貼ってあって、ずっと気になってたんです。

大ニセモノ博覧会−贋造と模倣の文化史−
(国立歴史民俗博物館プレスリリース)
詳細は「インターネットミュージアム」さんのレポートでどうぞ。
「大ニセモノ博覧会 ─ 贋造と模倣の文化史 ─ 」 取材レポート
(インターネットミュージアム)
入口には、どーんと記念撮影用のパネル。
その脇には「大金を持ってみよう」というコーナーがありました。
ココだけは撮影オッケー。

最初は1億円。

なんと10sあるそうな。
まぁ何とか持ち上がる。紙っぺらとはいえ、1億円分あると結構な重さです。
次におわすは千両箱(を模して作られた箱)。

全然持ち上がらない(´・ω・`)
「慶長小判の場合、千両はおよそ17.7s」との注記もありました。
ナルホド、それにこの木箱自体の重さも加わったら、20sオーバーだろうな。
ねずみ小僧が千両箱を担いで走り回るとか、結構なバカ力ですよ。
最後は慶長大判。

意外にも分厚くずっしり。
およそ165gとか。
大判は小判に比べて実際に流通するような貨幣ではなかったらしく、一種の「金の延べ棒」的な感じで使われてたのかなー。
展示会場に入ると、横一列に並んだ小判がお出迎え。
「この中にホンモノが1枚ありますよ」とのことですが、わかるはずもなく(´・ω・`)
そこから一歩入れば、ニセモノ天国です。
陶器のニセモノ、書画のニセモノ、名酒のニセモノなんてものまで展示されてます。
「ニセモノ」というと一括りで負のイメージですが、「ホンモノじゃないもの」にもいろんな意味がある、というのが今回の企画展の主旨らしい。
骨董品などの「ニセモノ」は、二束三文の「ニセモノ」を売りつけて金を巻き上げる、「金儲けのためのニセモノ」。
田舎の名家なんかだと「宴席の飾りのための美術品」が必要らしく。
特に地方の場合は「地元の有名人」にまつわるいろいろを収集している場合が多かったらしい。
よく某鑑定団で田舎の名家に伝わる品が登場する理由はそこなのね、と、ちょっと納得。
ただ、買った側は「要は見栄えがよければオッケー」なので、正直それがホンモノかニセモノか、というのはそれほど意味がなかったりするらしい。
まぁ、昔の田舎じゃ、美術品の真贋を見極められるような人なんていなかっただろうし、みんなで「いい絵(書)ですねー」なんて言いながら酒飲んでたんだろうなー。
イイとこまでいってるのに落款で失敗、とか意外にあるらしいのですが、そのへんは素人目には全然わからんからねぇ。
面白かったのは、書画のニセモノについての説明につけられた「教授のつぶやき」。
教授のイラスト付きで「全く絵心を感じません」とか「もっと似せる努力を」とかの、切れ味鋭い感想が拝めます。
その一方、数年前に世間を賑わした「石器捏造事件」は、日本の石器時代の研究に甚大な影響を及ぼした「ニセモノ」だそうな。
当時、歴博もその「ニセモノ」を信じて、それに基づいた展示をしていたそうなのですが、まさにその「当時の歴博での展示状況」の写真までもが今回展示されてます。
研究者を騙す「ニセモノ」は、教科書の記載に影響が及ぶものすらあるし、なかなか罪が重いです。
同じ「ニセモノ」でも、「ニセモノ」とわかってて作ったり使ったりする場合もあるのです。
貝で作った腕輪に憧れた内陸の縄文人が作った土製の腕輪なんかは、その気持ちすごくよくわかる。

(↑はチラシの写真)
うんうん、ワタシも本物のオパールが高くて手が届かないから、合成オパールでアクセサリー作ったよ(´・ω・`)
ニセモノでも、雰囲気だけ味わえればイイよね……
今回の展示の白眉は、インパクトある「人魚のミイラ」ですな。
インターネットミュージアムさんが、YouTubeに動画を上げて下さってます。
無論ニセモノ。
なんと、猿の上半身と魚(鮭)の下半身をそれぞれミイラにして繋いだという代物です。
昔は見世物にするためか、「人魚のミイラ」を作ることを生業にしていた人もいたらしく、かのペリーですら「人魚のミイラを作っている人がいる」と書物に記していたそうな。
でもって、今回展示されていたミイラは、伝えられている「人魚のミイラの作り方」を元に作った「新作」なのだそうな。
上半身と下半身の継ぎ目がとってもあからさまにわかっちゃうけど、大丈夫?
ちなみに、このミイラが展示してあったエリアは見世物小屋をモチーフにしていて、「人魚の写真が撮れるのぞき穴」なんてものもあります。
自分がのぞいてるのと別の穴から写真を撮る必要があるので、ひとりで来た人はアクロバチックな姿勢で必死に写真を撮っていらっしゃいました。
鬼の頭のミイラとかもあったけど、結構でっかくてビックリ。
アレもいろんな継ぎはぎで作ったんだろうか。
ニセモノ前提でガン見したけど、大本が何かは結局わからずじまい(´・ω・`)
現代のワタシですら見分けつかないんだから、昔の人なら猶更ホンモノと信じたことでしょう。
その他、人の歌を録音した「レコード」のニセモノ、なんてものもありました。
レコードというものが出始めた初期には、流行のレコードのコピーを作って安価で売り出した、今でいうところの「海賊版」が勝訴したなんて出来事もあったそうな。
今の著作権はガチガチだなー、と思ったこともありましたが、デジタル化で手軽にコピーが作れるようになってしまった今こそ、著作権はしっかりしているべきなのかも。
その関連でか、第2会場にはなぜか本物の蓄音機が置いてあり、手袋越しですが、操作までさせてくれますΣ(゜д゜;
ゼンマイ式なので、ゼンマイのネジをレバーでくるくる巻いて、レコード針をセットして、というとこまではやりましたが、肝心の「レコードに針を置く」ところは、貴重なSP版レコードに傷をつけちゃうのがこわくて、そこは係のお姉さんにお願いします(´・ω・`)
(子供の頃、家にあったレコードプレーヤーで針を置くことを怖がってたトラウマ)
聞こえてくる音楽は、現代のCDやデジタル音声に慣れた耳には雑音が多い代物でした。
とはいえ、今だにワタシとしては「針とレコードの溝の擦れる音」を増幅するだけで音が再生できる、というのが謎で仕方ないのよね。
同行のダーリン(音楽好き)が一番興味津々にしてたのが、実はココかもしれん。
思った以上に音がよかった、と驚いてましたよ。
そうそう、実は今回の企画展の面白いところは、音声ガイドが柴咲コウのボーカロイド「ギャラ子」で、しかもスマホのアプリをダウンロードすることで、自前のスマホで音声ガイドが聞けちゃう、というところ。
早速試してみましたが、意外な落とし穴は「普段スマホ用のイヤホンなんて持ち歩いてない」という点。
「売店で200円で売ってます」と言われたが、たまたまダーリンがカバンにイヤホン入れっ放しにしてなかったら、たぶん試さなかったな(´・ω・`)
で、早速聞いてみたギャラ子さんの音声案内は、「淡々としゃべる柴咲コウ(byダーリン)」でした。
文脈に沿った抑揚もちゃんとついてるし、日本語として違和感はないのだけれど、やっぱり「機械」なのです。
とはいえ、今後は「目の不自由な人」や「声を失った人」のための新たな「ホンモノ」として使われるようになったりしそうな気はする。
今回のチケットでは常設展も一緒に見られますが、ココの常設展示は普通の博物館ひとつ分くらいのボリュームの展示室が6個もあるという、「ついで」というにはあまりのボリュームなので、初めて行く人は結構時間に余裕を持って行った方がいいと思います。
我々は既にひととおり見てるのでスルーして、そのまま歴博を出ました。
歴博は「佐倉城址公園」という公園の一角にあるので、公園のベンチでお弁当食べました。
のどかな春を満喫。

ちょうど「松月」という八重桜が満開で、キレイでした。

そろそろおでかけも悪くない季節になってきたなー。
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