2013年05月24日

貴婦人と一角獣展

国立新美術館で開催中の「貴婦人と一角獣展」に行ってきました。
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貴婦人と一角獣展(公式サイト)

「貴婦人と一角獣」は、フランスのとある貴族の家に伝えられていた、15世紀頃に織られた6枚のタピスリーの総称。
赤い下地に「千花文様(ミルフルール)」と称される、無数の植物がちりばめられた文様を背景に、中世ヨーロッパの豪華な衣装に身を包んだ貴婦人が、一角獣と共に様々な姿で佇んでいるのです。
会社を午後半休して、いざいざ久々の美術展!


国立新美術館。
乃木坂駅から直結の美術館で、行くのは初めて。
音声ガイドを借りて、ガイドの音声を聞きながら前へ進むと、それは薄暗い円形の広大なスペースにずらりと並べられておりました。

この6枚の大きなタピスリーについては、現代では6枚中5枚が五感を示している、と解釈されているそうな。
例:『視覚』(部分)
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貴婦人が持つ手鏡に見入る一角獣。
一角獣の反対に座る獅子の「オレ知らねー」的に顔を背けてる表情がちょっと可笑しい。

そして残りの1枚は、他の5枚と大きく違う。
青い大きな天蓋。そしてその上部に記された「Mon Seul Desir」(我が唯一の望み)」という文字。
それゆえ、最後の1枚については様々な解釈がなされているそうな。
ポスターやチケットにデザインされているのも、この「Mon Seul Desir」です。
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この6枚のタピスリー。
円形に並べられた真ん中に立つと、中世の城の大広間に立っているかのような、荘厳な錯覚に囚われます。
1枚ずつがだいたい370cm前後の高さを持っている、とても大きな織物です。
そう、織物。
これだけ大きなものでありながら、この文様はすべてタピスリー工房の職人達が織り機で織り出している、とのこと。

例:『味覚』(部分)
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鳥にお菓子を与える貴婦人の姿。
近くで見ると、貴婦人の気高い表情と仕草、豪華な衣装がよくわかる。

織物で、この絵の精密さ!
ただただ、中世のタピスリー職人の腕に感服するばかり。

タピスリーの作られた背景を補足すべく、他にもさまざまな展示品が集められておりました。
その中で、「一角獣狩り」は中世には恋愛の象徴とされていたことや、一連の「貴婦人と一角獣」に描かれている紋章から、発注者はシャルル7世に仕えたヴィスト家の当主と推察されること、などが示されます。
タピスリーに描かれた背景・千花文様の中の動物や植物についても考察コーナーがありました。

他にも、制作当時の中世ヨーロッパの服飾についても触れられていて、ワクワク。
タピスリーに描かれていた貴婦人の衣装はすばらしく見事で、平面に描かれたものがこの美しさなのだから、現物はさぞや美しかったことでしょう。
いいなー。実際にこの時代の衣装の再現品とか置いてあったらよかったのになー。

あと、多少宝飾品も出展あり。
中世ヨーロッパの宝飾品って、私の中ではそんなに技術が高い気がしてなかったんだけど(偏見)、金でできた印章の指輪など、なかなか見事なものでした。
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ガン見しすぎてウッカリ展示ケースに手をついてしまって、係員に「恐れ入ります」と注意されたくらいには見入ってしまいましたよ(´・ω・`)

それほど展示物も多くなかったし、比較的会期が始まって日が浅い上に平日の夕方、ということもあり、かなり余裕を持って観賞できた展覧会でした。

余談。
音声ガイドを借りたので、帰宅後にその時一緒にもらったガイド付き作品一覧表を見てたら、ナレーターの名前を聞いたダーリン(やや声優オタク)が血相を変えた。
何でも、女性ナレーターはメーテル役の人・男性ナレーターはシャアの人だったんだって。
ググってみたら、そもそもこの「貴婦人と一角獣」自体がモチーフに使われたガンダム作品もあったんだね。
なるほど、そのへんの客層を意識したキャストなのかしらん。

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posted by 実里 at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 芸術鑑賞 | 更新情報をチェックする
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